06 他のエリアのプリンセス


 【朧道化】の物語を静聴する吟侍達。

 【エルヴィール姫の物語】――

 あるところに凄腕の人形職人がおりました。
 人形職人の名前はジャンと言いました。
 ジャンの作った人形やぬいぐるみは大変優れた一点物とされていて、誰にも真似できないものでした。
 ジャンが作った人形やぬいぐるみには美しい魂がこもっているからです。
 ジャンは1000体の人形やぬいぐるみを作りました。
 どれも国宝と呼ばれる優れたものでした。
 彼はその人形を誰にも譲りませんでした。
 譲る相手はただ一人と心に決めていたのです。
 その一人は恋人のミランダです。
 ミランダがジャンとの結婚を了承してくれれば、1000体全ての人形やぬいぐるみを彼女に渡しても良いと思っていました。
 ミランダもジャンの事を思っていて、二人は両思い。
 結婚とミランダへの譲渡はほぼ間違いないと思われていました。
 ところが、突然、ミランダが姿を消しました。
 とても美しかったミランダは誰かにさらわれて無理矢理花嫁にされようとしていたのです。