なので、吟侍は、
「あの……ついていって良いっスかね?あんたの話、ちょこっと聞いて見たくって……」
 とお願いした。
 すると朧道化は、
「別に私はかまいませんが、私の役目はプリンセスにお話を聞かせるという事です。私の許可よりもプリンセスに許可を得てください。プリンセスがオッケーなら私もオッケーですよ」
 と答えた。
 確かにそうだ。
 【道化】だけじゃない。
 お話を聞く側、プリンセスの許可も得なくてはならない。
 だが、これで【道化】の方には半分許可を得た様なものだ。
 吟侍達は、早速、王家の方に交渉に行った。
 幸い、エカテリーナが第一の大魔王、ゾクズォークの幹部をかなり倒していたという噂が広まっていたので、王族達は快く、プリンセスと【朧道化】のお話会の参加を認めてくれた。
 吟侍達にとっては、今回、寄る事の無い、別のプリンセスの話などを聞けるのではないかと思って、ちょっとワクワクもしていた。
 【朧道化】は、
「それではお客様も少々増えたようですが、ワタクシ、【朧道化】めのお話会をさせていただきます。今回お持ちしましたお話は、3つです。エルヴィール(Elvire)姫のお話とロベルタ(Roberta)姫のお話とセシーリア(Cecilia)姫のお話になります」
 と言った。
 エルヴィール姫とロベルタ姫とセシーリア姫――どれも聞いたことのないプリンセスの名前だ。
 他のエリアという事になるのだろう。