魔女アダルジーザは、それまでの魔女とは別格の雰囲気を醸し出している。
 あの時、魔女アダルジーザは他の19名の魔女と同質の雰囲気だった。
 だが、それは、誰がアルフォンシーナ姫を攫ったか解らなくするためでもあった。
 1人だけ別格の雰囲気を醸し出していたら、間違いなく攫ったことが疑われるからだ。
 雰囲気の質を他の魔女と合わせていたのだ。
 だが、今、ここにいる魔女アダルジーザは明らかに別格だ。
 魔女アダルジーザは魔女の術の産みの親とも言われる存在だ。
 つまり、この魔女は今まで戦った魔女アーデルヘイト、魔女ダニエラ、魔女アストリット、魔女ヴァレンチナ、魔女パウリーナ、魔女ボティルダの力はもちろん、ここに現れていない他の魔女の力をも生み出した存在だ。
 全ての魔女の力を持っていると見てまずは、間違いがないだろうと言えた。
 これまでの魔女とはまるで違う。
 吟侍達に戦慄が走る。
 これは、吟侍も本気でかからねばやられてしまう――
 本気で行っても勝てるかどうか……
 そんな不安がよぎる。
 【クティータ地方】で得た力はまだまだ足りなかった。
 そんな気持ちが支配した。
 そこへ、新たに一つの影が現れた。
 その影は、
「争いはもうやめて。見たくない……」
 と告げた。
 その影はフードをとる。