実は今の吟侍は全力を出せば、魔女達を瞬殺することも出来た。
 だが、これはあくまでもたくさんの【クティータ】を吸収できたお陰だ。
 吟侍の真の実力というには、おこがましいと言える。
 それが解っているからこそ、トドメは避けた。
 この魔女達は、真っ正面から向かってきた。
 それを言うなら魔女アーデルヘイトも同じだったが、気持ちの問題だ。
 この魔女達は倒すには惜しい性格をしている。
 強さに真っ直ぐ向き合った存在と言えた。
 だから、倒したくない――吟侍はそう判断したのだ。
 魔女アストリットは、
「ふ……お世辞は良い。実力では完全に負けていた。負けを認めるよ。これは誓いだ」
 と言って、吟侍の頬にキスをした。
 吟侍は、
「な、何を?」
 と狼狽えた。
 魔女アストリットは、
「何か呪いでもかけたと思ったか?違うぞ。これは服従の証だ。困った時に、呼ぶが良い、いつでも駆けつける」
 と言った。