だが、強さの行き着く果てというのは逆に窮屈であり、制限などが逆に出てきてしまうものなんだなと考えた。
 こういう考えが浮かぶのは吟侍の実力が知らず知らずの内に、現界でのレベルを大きく飛び越えているからでもあった。
 極端に強くなってしまったら、逆に守りたくても守れなくなる事も出来るし出てくる。
 その言葉をルフォス・ワールドの奥に住む、師匠、ガラバート・バラガからよく聞かされていたが、ようやく、その意味が解るようになってきた。
 クアンスティータの力は明らかに異常だ。
 ここまで強くなってしまうと逆にがんじがらめの制限が出てきてしまい、不便極まりなくなってくる。
 怪物ファーブラ・フィクタはクアンスティータに最強の力を与えて生まれさせた。
 それは、他者に殺されないためだという立て前があった。
 だが、この力を持っていて、本当に幸運なのか?
 クアンスティータの行動には常にあれもダメ、これもダメという制限がつきまとう。
 そのルールを破れば世界は崩壊する。
 嫌でもそのルールを守るしかない。
 自由なようでいて、逆に自由ではない。
 クアンスティータが邪心を持てば、それだけで、全てが終わる。
 だから、常に純粋で無くてはならない。
 清廉潔白でなくてはならない。
 それがクアンスティータなのではないか?
 吟侍はそう思った。
 彼にはクアンスティータが恐ろしい存在というより、何だか哀れで、不憫な存在――そう思えてきたのだ。