このセレークトゥース・ワールドにおいては、その他1名と数えられる様な存在でしかない。
 そういう実力しか無いからこそ、資金力にものを言わせて強力な化け物を雇ったというのがダンダンテという英雄だった。
 何でも金で解決する英雄――それが彼だった。
 実力としては英雄達の中でも下の下の下と言った所だろう。
 シェリル姫の気持ちになって考えて見ると、こんな実力の無い者が金の力だけで、影を倒し、シェリル姫との結婚にこぎ着けようと思っていると知ったら、そりゃ、ムカつくだろうなと吟侍は思った。
 とりあえず、向かってくる以上、相手をしなくてはならない。
 だが、本気にもなっていない吟侍の一撃でダンダンテはあっさりと沈んだ。
「ぐぅぅぅ……こ、こんなはずで……は……」
 といううめき声を上げたが、吟侍としては拍子抜けも良いところだった。
「こんなちょろいのまでいんのかここは……」
 と言った。
 少々、セレークトゥース・ワールドを過大評価しすぎていたようだ。
 何から何まで吟侍が驚く存在ばかりいると思っていたが、中にはダンダンテのような情けない存在もいるんだなと思い直した。