「何かをつかんで来たようじゃな」
 とオルオティーナ。
 彼女は吟侍の変化を感じ取っていた。
 明らかにセレークトゥース・ワールドに行く前の彼と自信の度合いが違っているのを感じていた。
 修業や新たなパワーを身につけて来た――そう言ったものとは違う。
 全くどうしたら良いのか見えて来なかったものが何となくではあるが、見えて来た。
 そんな雰囲気を持っていた。
 自信に満ちている――そんな感じだった。

 一方、神と悪魔の勢力はクアンスティータ誕生によって右往左往していた。
「どうした?報告は」
「すみません。数値が不明なんです。マイナス数値かと思ったら……」
「生命体である限りマイナス数値になる訳がないだろう。ふざけるな」
「ふざけてなんかいません。い、今は、数値がへのへのもへじ……」
「こんな時に何を言っている。数値しかでないものになぜへのへのもへじが……」
「わ、わかりません。とにかく、何もかもが滅茶苦茶で……」
 クアンスティータを測定しようとして、全てが失敗していた。
 プラス表示しかされないはずの測定器がマイナス表示になったというのはまだ、良い方で、数字とは全く別の表示になったり、しゃべりかけてくる動画やイラストになったり、まるで、測定器をオモチャにして遊んでいるかのような表示になってパニックになっていた。
 とにかく、現界を標準状態に戻そうと必死になっているが、そこにクアンスティータの情報を絡めると全く出鱈目な表示になってしまい、対処出来なかった。
 神と悪魔の測定器には神と悪魔の最強戦力の数値も余裕で計れるものとなっている。
 それで計れないという事は神と悪魔の最強戦力を持ってしてもクアンスティータには敵わない――その事を指し示していた。
 少なくとも神や悪魔のレベルではどうにもならないという事だ。
 それどころか、神や悪魔を遙かに超える神上立者(しんじょうりっしゃ)や神超存(しんちょうそん)を持ってしてもダメかも知れないという可能性をも示している。
 神や悪魔の測定器で計れないというのは少なくともそれらの存在と同等以上であるという事をも示してもいるのだから。
 神話の時代、怪物ファーブラ・フィクタが言い残していた台詞が神と悪魔達を改めて恐怖させる。
 自分達では全く敵わない化獣――クアンスティータがついに誕生してしまった。
 その絶望感に震え上がる。
 知ろうとすればするほど、よく解らない答えが噴き出してくる。
 対処のとりようがない。
 次から次へと出てくる問題に完全にお手上げ状態だった。