(ルフォス……喋らないならそれでも良い、お前の力の主導権をおいらに渡してくれ……試したいことがある……)
 吟侍はルフォスに訴える。
 返事は相変わらず無い。
 が、ルフォスの力の操作権が吟侍に渡った事が伝わってきた。
 今ならば、試す事が出来る。
 吟侍は答えの力との併用でルフォスの世界の力を使い、取り出したエネルギーをこねくり回す。
 攻撃のためではない。
 吟侍なりに、クアンスティータ用の離乳食のような物をイメージして作っているのだ。
 やがて、それはフワッとした物体になる。
「――食うかな?おいらなりのもてなしだ。とりあえず、誕生おめでとう。クアースリータの分もある」
 と声をかける。
 クアンスティータを抱いているオルオティーナは、
「それを食せと申すのか?」
 と言った。
 毒でも仕込んでいるのではないかといういぶかしんだ表情だ。
 吟侍は、
「毒なんて入ってねぇよ。正直な気持ちだ。戦うとかその前に、理解し合いたい。そう思っている。おいらは、クアンスティータ達の父親が転生した姿でもあるらしい。人間だけどな。父親は子供に食いもんを渡すもんだ。違うか?」
 と言った。
「クアンスティータ様を前に、その肝の据わりよう、見事だな。良かろう信じようではないか。……さぁさ、クアンスティータ様、お口に合いますかどうか……」
「……うまうま……」
「りーたちゃんも!」
「では、クアースリータ殿もどうぞ」
「おいちーっ」
「どうやらお二方ともお喜びになられたご様子。褒美を取らす。何が望みだ?なんなりと申してみよ」
 オルオティーナは上機嫌だった。
 クアンスティータが喜ぶ事が何よりの喜びになる。
 吟侍は、
「クアンスティータへの挑戦権をくれ。おいら達は自分の力を色々と試してみたい」
 と言った。
「そういうのを身の程知らずというのだ。クアンスティータ様にかなう訳があるまい」
「かなうかなわないじゃねぇさ。ただ、試して見たい。それだけだ」
「何を試すというのだ?」
「このままでは、クアンスティータは恐怖の象徴のままだ。だけど、クアンスティータの他の可能性を見つけてやりたい。そう思っている。その手助けがしたい。もちろん、クアンスティータ相手に何が出来るかわからねぇ。だけど、やってみてぇ。その許可がもらいてぇ」
「何を訳のわからない事を――と言いたいところだが、お前とカノンという小娘はクアンスティータ様もお認めになられているご様子だ。目に余るようなら止めるが、やりたいというのであれば止めはせぬ。やってみるが良かろう」
「ありがてぇ」
 オルオティーナと吟侍は納得したようだ。
 そのやりとりを見ていたエカテリーナが
「おい、芦柄 吟侍、お前、何をするつもりだ?」
 と声をかける。