それよりもクアンスティータ本体がついに誕生したのだから。
 それどころではないのだ。
 その場に居た陸 海空(りく かいくう)が次元崩壊札(じげんほうかいふだ)を投げつける準備をしながら、
「ふ、ふふ……ふふふ……ふふ……ふはははははははははは……」
 と笑い出した。
 自分の人生を台無しにするほど強大だと思っていたクアンスティータのパワーが余りにも大したことないのでおかしくなったのだ。
 これでは、先に誕生したクアースリータの方がよっぽど強大だ。
 そう思ったら笑いが止まらなくなった。
「この程度の奴を恐れていたというのか……バカにするなよ……」
 怒りがこみ上げ、クアンスティータに突っ込んで行こうとする海空。
 それを吟侍が
「バカ、わかんねぇのか?こいつは、クアースリータより遙かにやべぇ……自分の身体の異変に気づけ」
 と言ってタックルで止めた。
 海空がクアンスティータの事を大した事ないと思ったのは誤解で、実は、海空も含め、様々な存在はクアンスティータを感知する事を本能的に拒否したのだ。
 そのため、何も感じなかったのだ。
 感知していたら、今頃、存在して居なかった。
 それだけ途方もないパワーの存在なのだ。
 全宇宙自体がクアンスティータを直接、感知する事を拒否したので、何も無かったように思えたのだ。
 だが、全ての存在の本能の方では確実にクアンスティータを恐れている。
 海空は吟侍の軽いタックルでふらついた。
 気づいた時には自身の身体がガクガク震えていたのに気づかされる。
 自分が震えている事も解らなかったのだ。
 クアンスティータの前には次元崩壊札など何の役にも立たない。
 その事を認めたくない海空は涙を流し始めた。
 どんなことをしようと全く届かない、全く影響出来ない、かすりもしない存在がここに誕生してしまった。
 そのやりとりを見ていた怪物ファーブラ・フィクタは、
「……気が済んだか?」
 と言った。
 ニナ・ルベルはクアンスティータを産んだ疲労から、そのままにしておく事は出来ないため、安全な時空へと怪物ファーブラ・フィクタは転送した。