そして、それがすぐに、第一本体クアンスティータ・セレークトゥースが誕生した折に、出てきた余分物の塊だという事が解った。
 ゼルトザームとしては、クアンスティータではないとは言え、クアンスティータ誕生に関わっていたものである以上、無下にも扱う訳には行かない。
 対応に困っていると、
 【ファーミリアリス・ルベル】は、
「さっきのやつ、逃げたよ……」
 と言った。
 さっきのやつとはオリウァンコの事だ。
 最弱の化獣であるオリウァンコだが、ただ一つ、他の化獣にもひけにとらないと自負している事がある。
 それは遁走術――つまり、逃げるための力だ。
 事、ピンチになってから逃げる力は他の化獣よりも抜きんでていると言っても良かった。
 最弱であるが故に、逃げる手段は無数に持っていたのだ。
 ユリシーズに致命の一撃を与えられた瞬間、オリウァンコは現在の身体を捨てた。
 本能的に負けると理解してからの身体の動きは自身の心の動きよりも数段、早かった。
 すぐさま、身体を更に変貌させ、次の身体へと形を変えていった。
 そのため、ユリシーズが貫いた本体の部分から、個別に生きている部分だけをかき集めた新たなオリウァンコとして再構成したため、オリウァンコを倒しはしたものの、消滅させるまでには至らなかったのだ。