今の時間だと、昼休みに入った頃だろうか?
 教室で騒いでいる声が聞こえてもおかしくないはずなのに、不思議と聞こえてこない。
 まるで、この保健室だけ、孤立してしまったかのようだ。
 玲於奈も、
「あの……空いてますよ。どなたですか?」
 と声をかけるがやはり返事がない。
 いたずらか?とも思ったが、再び、
 コンコンコン……
 という音がした。
 どうやら空けたくても空けられない事情があるのかも知れない。
 顔を見合わせそう考えた二人は、保健室の入り口のドアを開けた。
 香月は、
「どちら様ですか?」
 と言ったが、誰も保健室の入り口には立っていない。
 やはり、いたずらだったのか?と思って、首を傾げ、ドアを閉めようとした時、隣にいた玲於奈が、
「か、かづちゃん……あれ……」
 と震えながら声を発した。
 香月は、
「な、何?どうしたの玲於……」
 と言いかけ、ハッとなった。