綾子は、
「もういい」
 と言って、すねたが、胸に残る大きな不安は消えない。
 誰に相談して良いのかもわからず、人知れず悩んでいた。
 俊征達に相談すれば良いのだが、彼女は表向き、何でもないと強がっていた。
 なので、押し迫っている恐怖を感じさせない行動を取っていたのだ。
 誰にも相談できずに時を過ごす。
 誰かに相談して、俊征達にたどり着いていれば、あるいは……
 そんなやりきれない思いが残る事件となろうとしていた。
 山木の方は病的なまでに痩せていた。
 担任教師は、
「山木、お前、無理して学校来なくてもいいんだぞ。ちょっと病院で見てもらえ。先生、良い病院、知っているんだ、良かったら……」
 と声をかけてくれたが、山木は、
「結構です。僕は健康ですよ。今までにないくらい気持ちが良いんです……」
 と担任教師の申し出を断った。
 そんな中、いつまでも好転しない心労から、綾子が倒れ、保健室に運ばれた。
 人づてに綾子が倒れた事を知った俊征達は、保健室に見舞いに行った。
 香月は、
「綾子、何かあったんでしょ?詳しく話して」
 と言った。
 今までは山木が気持ち悪いとは言っていたが、何かされたという事はなかった。
 だが、綾子の周りでは何かが確実に起きている。
 それだけは確信していた。