綾子と綾子のおばの間には綾子の母がいる。
 綾子のおば→綾子の母→綾子とくれば、ちょうど、【パンドラの鉛筆】が無くなる13番目に綾子の番となるのだ。
 警察は当然、綾子と綾子の母にも事情を聞いてきた。
 綾子の母は全く心当たりがないと答えたが、綾子は山木が怪しいと答えた。
 綾子にとって、恐怖が現実のものとして目の前に現れた瞬間でもあった。
 本能的に、通り魔は山木がやっていると思ったのだ。
 そういう面では綾子の勘は鋭い。
 それは的を射ていた。
 だが、警察は証拠がなければ怪しいだけでは逮捕出来ないとして、綾子の訴えに耳を傾けなかった。
 綾子の話は一見、山木の怪しい行動を言っているだけで、それが、通り魔と結びつかないと判断されたのだ。
 警察としては、山木は少し知的障害のある生徒と判断されたのだ。
 綾子は、
「違うって、刑事さん。あいつだって、絶対、あいつがやったんだって、私、解るんだから。捜査してよ、お願いだから」
 と言ったが、刑事の方は、
「あのね、お嬢さん、警察としては、奇行をしている人間は犯人としてしょっぴけないの。何か、ひどい目にあわされたとかそういう事はないんでしょ?だったら逮捕はできません。
あんまり騒ぎすぎると、逆にあなたが訴えられる場合だってあるんだよ」
 と言って聞く耳を全くもたなかった。