理由は、綾子の悪癖だ。
 彼女は恋愛相談もするが、相手の男性を気に入ったら、その男性にアプローチをしかけてしまうという悪い癖があった。
 他人の恋人が良く見えるというやつだ。
 奥手な俊征がなびくとも思えないが、一応、念には念を入れて、綾子には相談しない方が良いと判断したのだ。
 綾子は、
「ふぅ~ん、まぁ良いか……」
 と言った。
 何となく、本題を避けているというのに気づいてそうな雰囲気だった。
 それならそれでと、ストーカーの話題に乗ることにした。
「ストーカーと言えばさぁ、あいつ……山木 愁作(やまき しゅうさく)ってやつ知ってる?あいつ、キモいよねぇ。絶対誰かのストーカーやってるよ」
 山木 愁作……聞いた事ない男性だ。
 クラスメイトにそんな男子が居たか?と玲於奈と香月は首を傾げた。
 彼女達が知らないのも無理はなかった。
 彼女は一度も山木と一緒のクラスになった事が無かった。
 少子化が叫ばれて久しいが、玲於奈達の学校は結構、生徒数がいるので、全員の名前を憶えていないのだ。
 何しろ、同学年だけで7クラスもあるのだ。
 全員を覚えていろという方が無理である。
 なぜ、綾子がそんな話をしたかと言うと、ひと月前、山木に告白されたが、こっぴどくフッてやったのだ。
 すると、その次の日から山木がおかしくなったのだ。
 まるで何かに憑りつかれたかのような表情をしていたらしい。
 綾子は身の危険を感じだし、何となく助けを求めようとしていたのだ。