俊征は、
「すすす、裾?」
 とどもった。
 一瞬、何のことを言っているのかわからなかったからだ。
 だが、少しして、彼女も手を握るのがまだ恥ずかしく、裾を握りたいと言ったという事に気づいた。
 良く見ると彼女も少し震えている。
 玲於奈は、
「だ、ダメ……かな?」
 と上目遣いで俊征を見て来た。
 俊征は、
「ど、どうぞ、よろしく……お願いします」
 と言った。
 お互い、初デート──初々しい反応だった。
 それからいろいろ回ったのだが、俊征は緊張しすぎて何をしたか覚えていなかった。
 ただ、彼女がそばにいるという事だけ意識していた。
 それだけ、彼にはいっぱいいっぱいだったのだ。