3 祥吾の最期

「何だよ…何か用かよ…」

祥吾の呼び出しに応じた浩紀は仏頂面で無愛想に用件を尋ねた。
「…彼女の…羽住が最期に持っていた形見なんだ…もらってくれないか…」
渡されたものは手のひらにおさまるような小さな物体だった。
「石棺…のミニチュア…か?」

そう思った。

縁起でもないと思ったが、ふと、祥吾の顔を見るとまるでもうすぐ死ぬかのように目の下に隈が出来て見るからに具合が悪そうだった。
まるで精気がない…そんな印象だった。

その事からもふざけて渡しているようには見えなかった。

「…もらってくれないか?」
繰り返し祥吾は言った。

浩紀は祥吾の事は気に入らなかったが、これは大好きだった羽住の形見だと思い、もらうことにした。

「わかったよ…もらうよ…用件はそれだけか?」

 もらうものはもらうがそれでも嫌いな男の前では笑顔になれない。
 迷惑この上ないというような不機嫌な顔で答える。
「…あぁ…それだけだ…もう、お前にも会うこともないと思う…じゃあな…」

そう言い残し去っていった。

後で知ったのだが、祥吾の両親は事業に失敗、多額の借金を残し、首を吊ったとのことだった。

両親だけではなく親戚や友人も悉く亡くなっていたことも後で知った。

中には、殺人鬼に一家を皆殺しにされた者もいるらしい…

「羽住ぃ…今、行くよ…」

廃墟となったビルで祥吾は静かに瞳と自らの人生に幕を下ろした。