1 発端

「…浩紀(ひろき)か?話があるんだ…来てくれないか…」

川瀬 浩紀(かわせ ひろき)は大して親しい訳ではなかったのだが、かなりの金持ちだと有名だった倉持 祥吾(くらもち しょうご)に呼び出されていた。

浩紀は苦学生。

北海道からはるばる上京して来たが、両親の仕送りだけでは、大学にも通えないので、日々をアルバイトに明け暮れる毎日だった。

それに対して、祥吾は両親からたくさんの小遣いをもらい、毎日、遊び歩いているような男だった。

毎日、高級時計やら宝石のびっしりついたブレスレットやらをとっかえひっかえで身につけていて、隣にいる女の子も同じように会う度に違っていた。

女の子達はみんな、祥吾自身というより彼の背後にあるお金に目が眩んだという感じだった。

本当の魅力とは少し違うとは思うが、彼の周りには常に、愛よりも財力というタイプの女の子が取り巻いていた。

それを自分はモテると信じている祥吾はその事を鼻にかけていた。

いわゆる鼻持ちならない相手…

正直、好きにはなれないタイプだった…