トルムドアもカノンを安心させるために、このぬいぐるみを出したようだった。
 カノンは、
「トルムドアちゃん、ありがとうね」
 と言った。
 それを聞いたトルムドアは、何だか照れくさそうにもじもじした。
 お礼を言われたのが本当に嬉しいのだ。
 カノンは思った。
 ここに居るのは、あらゆる存在が恐れた恐怖の代名詞、クアンスティータじゃない――義理でも何でも父や母を求めて甘えてくる可愛い娘なんだと。
 カノンはここで確信する。
 クアンスティータは倒すべき存在じゃない。
 わかり合う、
 理解し合うべき愛しい存在なんだと。
 だとすれば、七英雄達の事は心配だが、娘をほっぽり出して帰る訳には行かない。
 クアンスティータと――
 まずは、(第一側体)トルムドアと触れ合ってコミュニケーションを取っていこうと思った。
 七英雄達にはそれぞれ、仲間が居る。
 だが、目の前のトルムドアにはまだ、自分しかすがる者がいないのだ。
 ならば、受け止めて抱きしめてあげよう――
 カノンはそう決意した。