「ぐっ……」
 槍が左腕を貫通したようだ。
 ただ、貫通しただけであれば、さして気にしないが、これは、ジャームのナノマシンで機械化された槍だ。
 そのナノマシンが、ジークフリート自身にも襲いかかる。
 左腕からナノマシンが浸食してくる。
 もう、後には引けない。
 ここで出さなければ確実に敗北する。
 そう、覚悟を決めたジークフリートは能力預金で超異能力を引き落とした。
 今回引き落とした力は、【天空よりの救いの手】という力だ。
 もの凄い大きな黒雲が出現し、その中から巨人のものより更に大きな腕が出てきた。
 出てきた腕は2本。
 右手と左手だ。
 右腕はジークフリートの所に降りてきて、ナノマシンの進行を止めてくれた。
 左腕はジャームの元に降りてきて、ジャームを握りつぶした。
 ジャームの死により、ナノマシンはストップした。
 勝つには勝ったが、一歩間違えば、死んでいたのはジークフリートの方だった。
 ためらいがジークフリートをピンチにしたのだ。
 その事を胆に命じるのだった。
 ジークフリートは、
「あっぶねぇ~」
 と言った。
 勝利の喜びよりも、下手をすればやられていたという恐怖心が彼を襲っていた。
 軽く震えが来た。
 だが、勝つには勝った。
 ――が、ペタンとそこに尻餅をついたジークフリートに勝利者らしいかっこよさは無かった。