このままでは負ける――そのイメージがよぎる。
 今の戦いは完全にバーブルのペースで進んでいる。
 タケルの方は防ぐだけで精一杯。
 反撃に移る余裕が無かった。
 次第に、口数も減っていき、ついには、黙ってしまった。
 それを境に、今度は、バーブルの方がしゃべり出す。
 バーブルは、
「どうした?急にしゃべらなくなって?しゃべる余裕も無いか」
 と挑発する。
 反論したいところだ――
 だが、悔しいかな、その通りだ。
 しゃべる分の思考を対抗策を考え、錬る方に回しているので、しゃべっている余裕は一切ない。
 バーブルは挑発を続ける。
 タケルが激怒して、冷静さを欠くのを狙っているのだ。
 生来、短気でもあるタケルは悪口を言われ続けるのに耐えられないと思われていた。
 バーブルは、勝ちを確信していた。
 タケルの顔がみるみる紅潮して言ったのを確認したからだ。
 怒りが貯まっている。
 暴走するのも時間の問題だと考えていたのだ。
 タケルは、
「ぶっ殺す」
 と言って、突っ込んでいった。