その肉体面での絶対の自信から、真っ直ぐにジャンヌの方に向かっていくミクス。
 ジャンヌを嬲り殺すつもりだ。
 だが、ジャンヌの方は居たって冷静だった。
 二つの【森羅万象】で戦うつもりだったが、ミクスとのののしりあいで、気持ちが変わった。
 ミクスは、幻妖斉の遺品【森羅万象盆】の方で倒そうと決めた。
 お前なんぞ、幻妖斉の爺さんに比べたら取るに足らない雑魚だと言わしめるように。
 ジャンヌは【森羅万象盆】の砂絵を駆使して、ミクスの身体的特徴を利用する形で、自滅するように持っていった。
 ミクスはその特別な力を持っていたが故に、自滅をする事になっていった。
 【森羅万象盆】の動きに合わせて、ミクスの顔を彼自身の両腕がふさぐ。
 その圧迫感から、呼吸が出来なくなる。
 力を緩めたいが、その肉体はミクスの頭脳から来る信号を拒否するかのように締め上げて行く。
 顔の力だけで振りほどきたいが、両腕の力は顔の力を遙かに凌駕する。
 そのため、ミクスは、自身の身体に自由を奪われる形で、窒息死した。
 【森羅万象盆】はミクスの肉体を自然物ととらえ、その力に逆らわない様に利用する事にした。
 力ではジャンヌはミクスには敵わない。
 だが、己の力を過信しすぎたミクスは、ジャンヌに力を利用され、自滅の道をたどったのだ。
 勝利を確信したジャンヌは今は亡き、戦友、幻妖斉に向けて、
「あんたがくれたお盆で勝てたよ――」
 と言った。
 これは、幻妖斉に敬意を払った行為だった。