トルムドアは、バースエリアでカノンをモデルにした実体にも虚像にもなるバーチャルキャラクターのようなものを作りだそうとしていたのだ。
 美架は、
「これで、一度にたくさんの存在に歌を聴かせる事が出来るようになりますよ」
 と付け足した。
 カノンは歌い手としてはかなりの実力を持っている。
 だが、それでも、宇宙全体からすれば、トップにはほど遠い。
 その理由の一つとしては、カノンの身体が1つだという事だ。
 どうしても、複数の身体を持つ、複合生命体の歌手と比べると活動範囲もそれだけ狭められる。
 第一本体、クアンスティータ・セレークトゥースの産みの親であるニナ・ルベルは複合生命体だったために、宇宙のトップアイドルにまで登り詰めた。
 実力では決して負けていないカノンが叶わないのもそうした、人間以上の能力を持っているか持っていないかの差が大きかったのだ。
 カノンの生体データを直接コピーしていたトルムドアはカノンの歌はもっと広めるべきだと思ったので、カノンの歌唱力をそのままにした仮想ボディーを作らせたのだ。
 このハーフバーチャルボディは複製がカノンの意志で自由に出来るため、幅広い活躍が出来るというものになる。