04 【あそこ】とは……


 ユリシーズ達七英雄の激闘を本物のカノンは知らない。
 彼女は(クアンスティータ・)トルムドアにトルムドア・ワールドに連れて来られてしまっていたからだ。
 彼女もまた、彼女自身が生き残るための戦いを繰り広げていたのだから。
 とは言ってもバトル――実際に戦うという意味での戦いではない。
 仮にそういう戦いをしていたら、とっくに消えて無くなっていただろう。
 それほど、クアンスティータ・トルムドアという存在は飛び抜けて強いのだから。
 そうではなく、自分の持てる全てを駆使して、生き残るための戦いしていた。
 トルムドア達との雑談を通して、奉崇歌(ほうすうか)などの次に身につけるべきスキルなどの情報を収集していたカノンはトルムドアと清依 美架(きよい みか)と共に、彼女達の言う【あそこ】に向かっていた。
 ちなみに美架とはトルムドア・ワールド内で出現する、夢の中で暮らしている理想の存在の事だ。
 本来は各存在の夢の中の特別な存在なのだが、美架はトルムドア・ワールドのクリエーター的存在――もう一つの全能者、アナザーオムニーアの富吉(とめきち)という存在の理想の存在であり、アナザーオムニーアは自分の夢の中だけの存在を実際の世界であるトルムドア・ワールドに作り出す事が出来る。
 その富吉によって、道案内のために美架はトルムドア・ワールドに出されたのだ。