「死ねば良いのに」
「相手の不幸を願っている内は小さく縮まっているだけなんだよ。夢に向かって真っ直ぐな奴はキラキラしてるぜ、お前と違ってなぁ」
 等々、正と不の応酬は続いた。
 やがて、カドルナはいたたまれなくなってその場を立ち去った。
 勝因はアーサーは幼い頃からの吟侍を見てきた事だった。
 吟侍は常に真っ直ぐ進んできた。
 それこそ、小さき者のつまらない嫌がらせなど、はね除けて行った。
 そんな吟侍を見てきた。
 口では悪態ついていたが、アーサーは吟侍の力を認めていた。
 その内から秘める強さを語っただけ――それが、アーサーの勝利に繋がったのだ。
 勝つには勝ったが、吟侍の前では絶対に使いたくない力だとアーサーは思った。
 この力は吟侍をイメージする事でわき出てくるものだからだ。
 その場を立ち去ったカドルナはオリウァンコによって殺害された。
 それを目撃したアーサーは、
「オリウァンコ、てめぇ……」
 と怒りを滲ませた。
 心の中では吟侍を認めているアーサーは芦柄三兄弟の様に曲がった事が嫌いだった。
 カドルナは戦意喪失していた。
 戦いを捨て、逃げる者を殺すのは、アーサーの中の正義が許さなかった。
 理不尽に殺される者がいるのを見て、我慢がならないのだ。
 続く第5の関所にはナートという男が待っていた。
 ナートの力は、何本もある腕だ。
 千手観音を思わせるような複数の腕が生えていて、それが、様々な道具(法具)を持っていて戦うスタイルのようだ。
 アーサーはこの難敵も成立言霊で撃破した。
 今度はカドルナの様にいたたまれなくなって戦意を喪失させるのではなく、物理的なダメージを成立させて倒した。
 中途半端に生かして帰しても、オリウァンコに始末されるのであればきっちりと倒して行こうと判断したのだ。