第4の関所には、カドルナという女が待っていた。
 カドルナの力は、悪夢のささやきという力だった。
 相手をネガティブにして死へと誘う悪魔のささやきだ。
 この敵を前にして、アーサーは、ゼルトザームとの特訓で得た、もう一つの力を使う事にした。
 その力は成立言霊(せいりつことだま)という。
 成立言霊は、言葉に力を込める力だ。
 言いくるめる事により、その言った言葉を成立させる力でもある。
 奇しくも、お互いが言葉に力を持つ能力同士の激突となった。
 かたや、人を破滅に向かわせる呪いの言葉――
 かたや、正しく生きるもの、真っ直ぐ生きる者に活を与える力ある言葉――
 正と不の言霊同士の戦いだ。
 言ってみれば力を持った弁論大会とも言える。
 カドルナは世の中の不条理を説いて聞かせれば、アーサーは世の中を作ってきた情熱を説いて聞かせた。
 ネガティブVSポジティブ――
「全て滅んでしまえばいい」
「叶わなねぇ夢はねぇんだよ」
「呪い殺してやる」
「コツコツやってきゃ、何とかなっていくもんなんだよ」
「必ずいるのよ、足をひっぱる存在っていうのは」
「んなもん、まっすぐな信念を持っている奴からしてみれば、どうでも良いカスだよ。大成すりゃ、そんなのは気配を消す」
「必ず不幸は訪れるのよ」
「人間、生きてりゃ沈む時もあらあな。だがよ、沈むって事はまた、浮くって事だ。要は浮くときに勢いつけりゃいいんだよ」
「ばかじゃないの」
「バカを笑う奴は大成しねぇよ。世の中作っていってるのはその道のバカばかりよ」