第3の刺客の名前は、チュレンヌという女だった。
 チュレンヌの力は、大きな胸だった。
 彼女は自分のものとは違う、巨大な乳房を召喚する事が出来る。
 男はその巨大な乳房から発散される香気に誘われ、乳房に引き寄せられる。
 そして、その大きな胸に挟まれ圧死するという力の持ち主だった。
 ジークフリートにもその香気が襲う。
 フラフラとその巨大な胸に引き寄せられて行く。
 このままでは圧死だ。
 だが、せっかちなジークフリートはチュレンヌに出会う前から、更に上空に巨大な雲を作り出し、そこから大きな槍を降らせていた。
 チュレンヌも出会い頭に巨大な胸を召喚していたが、ジークフリートも香気にかかる前に槍を降らせていたので、大きな槍はチュレンヌの身体を貫いていた。
 チュレンヌが倒れた事により、召喚された胸も消失し、事なきを得た。
 さっさと結着をつけるつもりになっていなかったら危ない戦いだった。
 同じ七英雄であるテセウス・クレタ・ミノスであれば、誘惑系の力に対して強い耐性を持っているが、色恋ざたに弱いジークフリートにとっては相性の悪い相手と言えた。
 結着がついた後になって、その危うさに気づき、胆を冷やすのだった。
 これまでの3戦は面倒臭いから適当にあしらうつもりで戦って来たが、これからは、慎重に戦っていかねば足元をすくいかねられんと思うのだった。