カノンは少し考える――
 このまま、現界(げんかい)に戻っても、今のままの彼女であれば、仲間達にとっては足手まといになる部分も多い。
 それよりは、今しばらく、このトルムドア・ワールドにとどまり、得られるものは何でも得てきて、成長してからの方が、パーティーにとっては良いだろうと判断した。
 現状としては、七英雄やシアンやパストなどの協力は無い。
 彼女達は現界に居るはずであるからだ。
 今、居る彼女の味方は彼女自身だけ。
 頼れるのは己の身、一つだけだ。
 トルムドアは好意的だが、何時、機嫌を損ねてカノンに敵意を持つか解らない。
 トルムドアに敵対視されたら、恐らく、そこで、カノンの旅は終わりを迎えるだろう。
 だから、敵対する訳にはいかない。
 生き残って戻るために行動しなくてはならない。
 今まで、カノンは人のために行動してきた。
 だが、今回は違う。
 カノンは自身を生かすために、行動しなくてはならない。
 死んでしまったら、そこで全てが終わりだ。
 人の思い出には残るかも知れないが、現実としての変化はそれ以降は無くなるという事を意味している。
 それは嫌だ。
 カノンはまだまだやり残した事があるからだ。
 こんなところで全てを終わりにしたくはない。