二人はムキになって互いの身体から奪い合う。
 ウィスラーは複数の盗賊の翼を操っているのに対してテセウスは右腕一つだ。
 最初の内はウィスラー有利という状態だった。
 だが、テセウスが盗賊の翼をどんどん吸い込んで行くので、ウィスラーが操る盗賊の翼の数はどんどん減って行った。
 次第に形成は逆転し、テセウスが競り勝った。
 相手から奪うだけ奪って勝利をもぎ取ることに成功した。
 勝利した後、テセウスは逆退化で右腕を元の腕に戻す。
 今回はウィスラーに対抗するために進化を使ったが、吸い込んで、相手の力を削り取るという能力は効率が悪い。
 ウィスラーの力に対しての対抗策としては有効だが、他の敵に対しては、与えるダメージとしては効果が薄いとして、戻したのだ。
 超越進化と逆退化を使った事で、テセウスの右腕には激痛ともなっている鈍痛が走っている。
 痛みがしばらくひかない。
 だが、立ち止まっている事は出来ない。
 敵はまだいるのだから。
 テセウスは右腕はグーにしたりパーにしたりして、自分の思い通りに動くのを確認した。
「……よし、大丈夫だ。――次、行くか……」
 テセウスはまた、歩き出し、次の関門へと足を進めた。