「ぐぅぅぅぅぅぅ……」
 激痛がテセウスを襲う。
 この激痛に耐えなければ、進化は無い。
 そうしている内にも盗賊の翼が彼を襲う。
 もう後には引けない。
 やるしかないのだ。
 盗賊の翼を何とかかわしつつ、テセウスは右腕を進化させた。
 今回の進化は、右腕がまるで、細長い花瓶のようになっている。
「シュゴオォォォォォォォォ……」
 という音をたて、まるで掃除機の様に、盗賊の翼を吸い込んでいく。
 盗賊の翼は既に、テセウスからいくつか身体の動きを奪っていた。
 それを吸い込む事によって、盗賊の翼から奪われた力や身体の一部を取り返していったのだ。
 更に言えば、テセウスから身体の一部などを奪い取った盗賊の翼を吸い込んだ場合は元の身体を取り戻すだけだが、まだ、テセウスから何も奪って居ない盗賊の翼からは、ウィスラーの身体の自由自体を奪っていた。
 形こそ違えど、盗賊の力と同じ様な力をテセウスの右腕は持っているという事になる。
 全くの同質の力ではないが、お互い、相手から力や身体の一部をもぎ取るという能力を持ったという事で、テセウス対ウィスラーの身体の一部や力の奪い合いが始まった。
 相手から奪ったと思ったら、奪われるという繰り返しだった。
 捕ったら捕られ――
 奪われたら奪い返す――
 その応酬が続く。