七英雄きっての色男であるテセウスは、直接戦うというタイプではない。
 テセウスはモンスターハーレム(化物後宮)を持っている。
 この後宮には怪物の雌がひしめいている。
 テセウスは特殊なフェロモンを7番の化獣、ルフォスの宇宙世界で身にまとった。
 そのフェロモンにより、怪物の雌を虜にし、自身の手足として戦わせるのだ。
 そのため、戦闘力で言えば、七英雄中最弱と言われる事もあった。
 どうしても、直接戦わないので、成長するのは使役する怪物の方で、テセウス自身の成長度は低いと思われて来た。
 だが、テセウスは、影で努力をしてきていた。
 格闘技などを多く学び、自身のスキルをアップさせてきた。
 ちょっとした小悪党くらいならば、格闘技だけで、全滅させる事が出来るくらいには強い。
 だが、他の七英雄の異能力と比べてしまうと、やはり、対等とするのは、モンスターハーレムとしての力になってしまう。
 なので、ゼルトザームとの修行では他力ではなく、本人の──自身の力の強化に集中した。
 テセウスが新たに身につけた力──それは、超越進化(ちょうえつしんか)という力だった。
 生命体の多くは、そこに住むために、長い時をかけて、その環境に適合した身体を手に入れる。
 テセウスの場合はそれをものすごく短期間でするという力になる。