タケルは、
「へぇ、背水の陣ってやつか。退路を断って戦いに挑む――良いね、嫌いじゃない」
 と答えた。
 実際には、ここで、逃げ出せば、ヘムサスはオリウァンコに殺されるという意味だったのだが、タケルは少し勘違いしたようだ。
 それはお互いの意思疎通は難しいという意味でもある。
 ヘムサスは構えを変えた。
 どうやら、剣技における奥義を披露するつもりのようだ。
 それに返礼する形でタケルも構える。
 剣を右手に持ち、肘を軽く曲げ、左に倒す。
 左手は倒した剣に添える。
 タケルなりの奥義の様だ。
 剣技の奥義に対して、剣技の奥義で返す。
 それが、やったらやり返すが流儀のタケルとしてのルールだった。
 再び、間合いを計る二人。
 しばらくそのままじっとしている。
 数分くらい時が止まったかのように動かなかった。
 そして、また、音がして、それを切っ掛けに二人は動き出す。
 勝負は一瞬にしてついた。
「み、見事なり……」
 最後にその台詞を良い、ヘムサスは崩れ落ちる。
 タケルが勝った。