ヘラクレスは4体の女性体になって対応した。
 今までの彼であれば、敵の動きについてこれずに右往左往してやられてしまうという事もあっただろう。
 だが、今の彼は、スピードという武器を得た。
 身体も4体に増えた。
 だが、気をつけなければならない事がある。
 女性体はあくまでも仮の身体なので、時間制限があるのだ。
 更に、もし、仮に女性体の1体が消滅してしまうなどの事があると、男性体に戻った時の彼の体重は元の体重の4分の3になってしまう。
 もちろん、2体やられてしまえば、半分、3体やられてしまえば、4分の1になり、4体ともやられてしまえば、男性体も消滅する。
 別の身体のように見えても男性体と女性体は連動しているという事なのだから。
 そういう意味では慎重に戦わなければならない。
 だが、そういう緊張感もヘラクレスにとっては嬉しかった。
 今までは七英雄の一角には数えられても、リーダーであるユリシーズ・ホメロスばかりが目立ち、彼は影に隠れた立場だった。
 同じようにカノン・アナリーゼ・メロディアス第七王女を想い、彼女につかえては居ても、やはり目立つのはユリシーズだった。
 ユリシーズもまた、カノンの恋人である吟侍に嫉妬していたが、それでも、吟侍は一緒に冒険に出られないという状況になった時、一番近くに居た男性はユリシーズだった。
 だが、今は、七英雄全てが、別々の扉の中で戦っている。
 それぞれが、それぞれの正義のために戦い、それぞれが主役という立場だ。
 そう、この場にはユリシーズも居ないのだから。
 この戦いはヘラクレスの全責任で行い、自分の信念のために前に進んでいるのだから。
 リーダー(ユリシーズ)が居るとどうしてもリーダーに頼ってしまう。
 他に仲間のいないこの状況だからこそ、彼はフルパワーで戦う事が出来た。