05 トレジャー・ネームへ


 次に訪れた宇宙世界の名前はトレジャー・ネームと言った。
 この宇宙世界の特徴としては、この宇宙空間にある殆どの存在に名前がついていないというものだ。
 いや、正確には、名前をつけても記憶から消去されていく宇宙世界であるという事だった。
 そのため、この世界では、【おい】とか【お前】、【あなた】とか、【そこの人間】などの言い方で相手を指す事になる。
 この世界で名前を維持出来るのは、この世界全体の10000分の1名以下のみとなる。
 当然、世界の存在の数が減れば、それだけ、名前を維持出来る存在の数も減る事になる。
 名前を維持できる数が増えるという事はない。
 この宇宙世界もまた、滅びに向かっているのだから。
 現在、名前を維持出来ているのは、1億2300万名と少しだという。
 つまり、この宇宙世界全体の存在の数は、1兆2300億名くらいまでに激減しているという事になる。
 これは、一つの星全体の数ではなく、トレジャー・ネームという宇宙世界全体の数だ。
 宇宙の規模から考えるとどれだけ、滅びかけている世界であるかがうかがい知れる。
 滅びかけてはいるが、名前とはこの宇宙世界全体にとっては貴重であり、その名前を巡って、日々戦いが起きている。
 他を一切寄せ付けない程、圧倒的な力を持っている者はそれほどでもないだろうが、他の名前を持っていない存在と大差の無い、ネームホルダー(名前を持っている存在)は、生きている限り命を狙われるという事になる。
 基本的にネームホルダーを消せば、それだけ、名前を持てる可能性が増えるからだ。
 名前を巡って日々、存在が消されていて、それは、滅びの道をたどっている。
 この宇宙世界での半年前までは、1億5000万名くらいはネームホルダーが居たという。
 それだけ、急速に存在の数が減ってきているという事になる。