神話の時代、レインミリーという少女が、人間では耐えられないような苦痛を一身に背負ったという悲劇。
 それは、コーサンの悲劇を遙かに上回る悲劇だった。
 こんな悲しい事があったのかと思わせるようなものだった。
 そして、その復讐によって、クアンスティータという存在は産まれるのだという事も解った。
 怪物ファーブラ・フィクタと魔女ニナが我が子、レインミリーの悲劇の復讐のために最強の化獣、クアンスティータを産み出そうとしていて、神や悪魔の勢力はその誕生を酷く恐れている。
 クアンスティータが誕生してしまえば、神と悪魔の威光は地に落ちる。
 クアンスティータには誰も勝てないのだから、神や悪魔の力を示しようがない。
 もちろん、フランツに聞いたクアンスティータの情報はこれだけ聞いても、ほんの極一部――氷山の一角でしかない。
 それだけ、底が見えない――いや、無い存在なのだ。
 カミーロは思う――
 自分は弱い。
 弱すぎる。
 クアンスティータに比べて、全くの無力に等しい。
 だが、そんな自分でもなんらかの好転の一役を担えれば――
 どんなに微力でも結果的に良いと思える方向に軌道修正出来れば――
 そんな思いを込めて、現界に向かう事にした。