すると――
 ぼうっ……とまるで亡霊のように、影が一つ現れた。
 その影は、やがて人の形を取り、女の形となった。
 俺は、
「……エヴェリーナさんかい?……」
 と尋ねた。
 すると女は黙って頷いた。
 肯定したという事だ。
 つまり、この女がエヴェリーナという事なる。
 俺は、エヴェリーナに何がしたかったのか尋ねた。
 すると、エヴェリーナは、答えなかったが、テレパシーの様なものが俺に伝わって来て、理由を説明してくれた。
 エヴェリーナの正体は、創作物だった。
 誰かが考え、生み出した存在、それが彼女だ。
 様々なイメージが混じって出来たため、様々な見られ方をしていたようだ。
 エヴェリーナ神話とはその創作物として誕生した彼女に惚れ込んだ男達が彼女を実在させるために複数の神話を取り込んだ物という事だった。
 どんどん膨れあがる神話にやがて創作物だったはずのエヴェリーナも意志を持つようになって来た。
 地球で言えば九十九神のようなものだ。
 エヴェリーナは力も得た。
 だが、それはとても小さな力。
 違和感を作り出すというだけのものだった。
 俺が惑わされたのもその力によるものだ。
 初めから意味など無かったのだ。