本来であれば、もっとスマートに動けるかも知れない。
 それにブレーキをかけているのがクォンデルの精神だというのが少々情けないのではあるが。
 レェバは、
「お願い……助けて……」
 と声を絞り出した。
 クォンデルは取り乱しているレェバが少し落ち着くのを待って事情を聞く事にしたが、落ち着いてきた彼女は事情を話さない。
 それも当然である。
 突然現れた、正体のわからない男に自分の抱えている問題を話せるわけがない。
 特に、幼馴染が犯罪行為をしようとしているなどとは口が裂けても言えない。
 助けて欲しいけど、助ける内容を話すことができない。
 そんな状態だった。
 クォンデルの方も事情は解ってますとは言えない。
 言ったらその瞬間に彼女の信用を無くすだろうからだ。
 時間だけが過ぎていく。
 こうしている内にもストマとツクは犯罪行為をするために、マシンクリーチャーの強奪行為をしているだろう。
 彼らに残された時間は少ない。
 クォンデルが何らかの手助けをしないと恐らくは、あの二人は政府の手によって射殺されてしまうだろう。
 クォンデルの人生においても理不尽な事は数多くあった。
 だが、その全てに対して彼は目をつぶってきた。
 無かった事にしてきた。
 関わらないようにしてきた。
 だから、こんな時に何をしたらいいのか、わからない。
 答えが見つからない。