ここへ来て、吟侍は恋人カノンの主張していた交渉というのが如何に大切かを感じるのだった。
 彼女は周りに反対されていたが、彼女のやろうとしていることは、吟侍がやっている事よりもある意味、凄いことなのだと思った。
 自分には勿体ないくらい良い女性だと吟侍は改めて思った。
 そう考えるとカノンに無性に会いたくなった。
 彼女は今、どうしているだろうか?
 無事だろうか?
 ユリシーズ達が守ってくれているはずだから大丈夫だとは思っているが、それでも、心配だった。
 だが、今は、クアンスティータと向き合わなければならない。
 他の事を考えながらではクアンスティータと正面から向き合う事は出来ない。
 だが、カノンの主張は正しかったと知った時、嬉しかった。
 戦うだけが全てではない。
 中にはこういった楽しみ――店を持ち、売ったり買ったりしたり、工場で生産する商品の事を相談したりすると言った事もクアンスティータと深く関わっていけばあるのだと知った。
 ただ、強ければ、クアンスティータに対抗出来るという考え、そのものが間違いだったと知った。
 やはり、クアンスティータは絶望の象徴ではないと吟侍は確信する。