恐れたり、利用したり、とにかく、マイナス面でクアンスティータを捕らえようとすると鏡の反射の様に恐怖という感情で帰ってくる。
 そんな気がするのだ。
 敵意、悪意を持たずに、接すれば、決して怖い存在ではない。
 答えの力がそう、告げている。
 だから、クアンスティータが誕生する前に、吟侍はクアンスティータに対する敵意をやめた。
 誠意を尽くし、礼には礼で答えるかのような接し方をしようと決めていた。
 敵意をやめることで、クアンスティータの鏡の反射の恐怖から逃れたのだ。
 クアンスティータには挑む――だけど、勝負という形で挑むだけだ。
 戦いというよりはむしろ、スポーツ――そんな気持ちでいる。
 屈服させよう、倒そうとは思わない。
 まともにぶつかっても敵わないのだから。
 クアンスティータにどれだけ通じるか、それだけを見てみたい。
 吟侍は今、そう思っていた。
 スポーツマンシップに乗っ取った様な感じの挑戦者という立場でクアンスティータに接する事で、誠実さを示した。
 だから、吟侍には、恐怖という変化は無かった。
 吟侍の恋人カノンも愛情を持って接しているため、彼女にも恐怖という変化は起きていない。
 吟侍は、クアンスティータの力を直接感知するという事は出来なかったが、それでも、心の底から震えあがるという事は無かった。
 怯える者達の多くはクアンスティータの事を絶対悪のように言う。
 自分達の安全を脅かす悪い奴――そう捕らえていた。
 だが、本当にそうなのか?
 ただ、自分達の多かれ少なかれの悪事が通じなくなる――それが怖いだけではないのか?
 少なくとも吟侍が知る限りでは、クアンスティータは悪いことはしていない。
 産まれていなかったのだから当然だ。