しばらくするとまた、元の1つに戻ったので、解った者は誰も居なかった。
 セレークトゥース誕生に動揺していてそれを気にしている余裕など全く無かったのだから。
 吟侍も全く動揺して居ないと言うとそれは嘘になる。
 吟侍の心臓は7番の化獣(ばけもの)ルフォスの核と同化している。
 ルフォスの動揺が吟侍の全身を震えさせる。
 ルフォスは元々、この最強の化獣(ばけもの)クアンスティータに対する絶対的な恐怖を克服するために吟侍との共存を選んだのだ。
 吟侍が平気でもルフォスの怯え方は尋常ではなかった。
 ルフォスは常日頃から、クアンスティータに勝ちたいと言っていた。
 勝つという事は何らかの勝負をするという事になる。
 だが、今はそれどころじゃない。
 全く言葉が出ない程、動揺し、怯えている。
 それこそ、小動物が、猛獣に怯えるように。
 俺様的な気性だったルフォスが子供の様に怯えていて、息を潜めている。
 それこそ、自分の存在を消すかのように――黙ったまま何も喋らない。
(ルフォス……ルフォス……どうしたんだ?……ルフォス!)
 心の中で吟侍は必死に呼びかけるが、ルフォスは全くの無反応だった。
 ルフォスの協力無しでは吟侍の力は極端に落ちる。
 如何に超天才的な戦い方をしようと、ルフォスの核が吟侍の心臓を動かさねば彼は動けないのだから――