「うん、ありがとう。お仕事、頑張ってねぇ~」
「へい、失礼しやす……」
 どうやら、何かを作り出している途中で呼び止めていたらしい。
 冨吉はどこかに去り、その場には、カノンとクアンスティータ・トルムドア、聖依 美架の三名が残った。
「じゃあさぁ~どこ行こっか?」
 トルムドアは友達と遊びに行く相談をするかのような感覚で、カノンと美架に話しかける。
「トルムドア様、あそこはどうですかね?」
 と美架。
「あそこか~、良いね、あそこ行こう」
 と返すトルムドア。
 【あそこ】では、カノンだけがそこが何を意味しているのか解らない。
 ここは、トルムドアの支配するトルムドア・ワールドだからこそ、そこに存在する美架の気持ちは、答えを聞かずとも何が言いたいのか解るのだろう。
 カノンは、虎穴に入らずんば虎児を得ず――
 とりあえず、トルムドアと行動を共にして、このトルムドア・ワールドがどのようなところなのかをさぐる事にした。
 元の世界に残して来たユリシーズ達が心配じゃないと言えば嘘になる。
 だが、心配してもこの状況は変えられない。
 今できるベストを尽くしてカノンは事態を好転させようと思うのだった。
 トルムドアの言った、クアンスティータの所有する全ての宇宙世界の基本になる宇宙世界がこのトルムドア・ワールドであるのであれば、このトルムドア・ワールドを理解する事がクアンスティータの所有する宇宙世界を理解する第一歩となるのではないかとカノンは考えている。