幻妖斉の持つ【森羅万象盆】にはイラストが描かれている。
 大自然のイラストだ。
 そのイラストは細かい砂の集まりで、その細かい砂が変化して、別のイラストに変わる。
 すると、そのイラストに影響されて、自然現象が変化するという力を持っている。
 ジャンヌの【森羅万象陣】は地面に紙をしく。
 その紙の上に砂で描かれたイラストを描く。
 砂絵は絶えず変化し、【森羅万象盆】と同じ働きをする。
 形こそ、違えど全く同種の能力のぶつかり合いとなった。
 力も五分と五分。
 勝敗を分けたのは若さ――ではなく、自身の力に対する信頼度だった。
 幻妖斉の方は、色々と考えすぎた。
 そのため、真っ直ぐ、その力を信じきって向かってきたジャンヌの【森羅万象陣】の方が競り勝ったという形となった。
「儂もまだまだ、修業不足じゃったという訳か……」
「……少なくともあんたはあたしがタイマンで戦った中じゃ一番の実力者だったよ。やるな、じーさん」
「持っていけ。小娘なんぞに負けた今、儂はお払い箱じゃ。後は気ままに暮らすだけじゃ」
「……ありがたく貰っておくよ。あんたには敵としては会いたくなかったよ。オリウァンコの部下にしちゃ、なかなかのきれもんだしな」
「ありがとな……ぐふっ……」
 話をしていた幻妖斉が突如、血をふいた。
 ジャンヌの攻撃によるものではない。
 オリウァンコが敵とわかり合った幻妖斉を始末しようとしたのだ。
「おい、じじい。しっかりしろ」
「最期にお前さんと戦えて良かった……」
 そのまま絶命する。