その声に対し、ゼルトザームは
「ご生誕、おめでとうございます。クアンスティータ様、このゼルトザーム、心よりお待ち申し上げておりました」
 と言った。
 フッと上空を見ると、小さな何かが見える。
 その小さな何かは少しずつ降りてきて、やがて肉眼でも確認出来るようになった。
 見ると赤ん坊だった。
 生まれたばかりというよりは、生まれて少し経って髪の毛なども生えて来た頃の姿形をしているが、確かに赤ん坊だ。
 宙に浮かぶ赤ん坊という所からも異常ではあるが、問題はその赤ん坊の気配が一切感じないという事だった。
 力を全く感じない――いや、違う、ユリシーズ達がその気配を感じる能力を絶っているのだ。
 だから、全く何も感じないのだ。
 明らかに知ることを拒否している。
 その場に居る絶対者アブソルーター達もまた同じ反応だ。
 確実に理解する事を恐怖している。
 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ……
 誰とも無く、歯をカチカチ鳴らし震えて来ていた。
 怖い――とにかく、その赤ん坊が怖い――
 逃げ出したいけど身体が動かない――
 そんな絶望感が支配した。