「私は殺されるのか……」
 半ば諦めたようにゼルトザームに質問する。
 ゼルトザームはクアンスティータのオモチャと呼ばれる怪物だ。
 彼の言葉はクアンスティータの代弁をする事と判断しても良い。
「あなたと違ってあのお方はそんな理不尽な事はされませんよ。ちゃんと手順を踏んで正式のものであれば、カノン様に対して害がないと判断すれば、何もされませんよ」
「信用して……」
「良いと思いますよ。僕はあの方ではないのではっきりと断言はできませんが」
 ゼルトザームの言葉に一安心したのか、ゼルトザームはユリシーズ達に正式に勝負を申し込んだ。
 カノンは攫うのではなく、正式に客人として招待する。
 その上で取り戻したくば、オリウァンコの用意する刺客達を突破して見せろとそう言うのだ。
 ユリシーズ達にとって見れば、そんな勝負、正式だろうがなんだろうが、受ける理由は無い。
 黙っていれば、クアンスティータに気に入られたカノンがオリウァンコに何かされる心配はないのだから。
 だが、ユリシーズ達にとっては、一度、オリウァンコの殺戮を味わっている。
 ゼルトザームによって無効にはなったが、苦い思いをした記憶はちゃんと残っていた。
 ユリシーズ達は、正直、カノンの戦わず、交渉によって事を納めるという考え方には賛同していない。