【ルツ】の切り札は後、三つ存在する。
 今回はウェンディに適していたが、他の切り札の中に琴太に適した切り札があるかも知れない。
 そう考えれば、ウェンディに譲ることなどなんという事もなかった。
 ウェンディが【セパレーションマイセルフ】を飲み込んだ。
「どう?何か変わった?」
 ドロシーが尋ねる。
 ウェンディは
「わからん……」
 と答えた。
 【ルツ】がティアグラとの取引に使おうとしていたものの一つだ。
 これが単なるどこにでもありそうなアイテムである訳がない。
 そんな期待を持ってみていたが、特に変化は見られなかった。
 それがある程度解る時――、その時は、敵がせめてきたという時だった。
 偵察部隊の失態により、琴太達に切り札の一つが渡ってしまったという事は【ルツ】の耳にも入った。
 激怒した【ルツ】は他の存在代行五角結界に指示を出し、結界を解く。
 中から現れた【ルツ】の子供達は琴太達から切り札の一つを取り返そうと向かってきた。
 ウェンディは
「あたいだけでやる。見ててくれ」
 と言った。
 手にした力を試してみるには実践に限る。
 そう思うのが彼女だ。