偵察部隊も【ルツ】の隠れている存在代行五角結界は解らないから、適当に結界を解いて回る。
 偵察部隊は味方なので、存在代行五角結界が解かれても戦闘にはならない。
 そうやって、【本物】が出てくるのを待てば良いのだ。
 作戦は成功──そう思われたが、半分失敗してしまった。
 偵察部隊の反応が偽物を出した時と違ったので、一気に、琴太達は乗り込んだが、【ルツ】ではなく、【ルツ】が切り札として隠していたものの一つと当たったようだ。
 考えて見れば、【ルツ】が隠れている存在代行五角結界は一つだが、【ルツ】の切り札を隠している存在代行五角結界は四つある。
 必然的に切り札の方が当たる可能性が高いという事になる。
 琴太達はしまった、失敗した──とはあまり思わなかった。
 確かに、【ルツ】にはたどり着かなかったが、代わりに手に入れようと思っていた【ルツ】の切り札の一つが大した苦も無く手に入れる事が出来たのだから。
 棚から牡丹餅をもらったような気分だった。
 早速、ドロシーがその切り札をサイコメトリーで探りを入れる。
 もちろん、使い方を知るためにだ。
 それによるとその切り札の名前は【セパレーションマイセルフ】、直訳すれば、【分離した私自身】という事になる。
 仮に琴太が【セパレーションマイセルフ】を身に着けたとすると琴太は本体である自分自身以外にも琴太から離れて動く、自分の手足を持つという事になる。
 普通の人間は自分の身体と手足はくっついているため、どうしても、身体全体で動かないと手や足での作業はできないが、自分の脳波で動く手足があれば、その手だけ、足だけを飛ばして何らかの作業をさせる事も可能なのだ。
 しかも、これは、厳密には手足の事ではない。
 目の役目も鼻の役目も耳の役目も果たす事が出来る。
 つまり、自分の身体の部分と同じ機能を持つものを自由に飛ばして使う事が出来るというものだ。