だが、ダメだ。
 いくら考えても何も思いつかない。
 琴太は頭脳労働担当にはなりえない。
 こういう時に役に立つのはやはり、アリス達だった。
 アリスは体内データベースから吟侍の行動パターンを解析した。
 吟侍であればどのような行動を取るかという情報が未来の世界から来たアリスにはあったのだ。
 と言ってもあくまでも行動パターン分析なので、本物の吟侍がとる行動と同じという訳にはいかないのではあるが、それでも、事態を解決する妙案は出て来た。
 その方法は未来の世界においてデータが残っていた吟侍が過去に行った方法の一つだった。
 簡単に説明すれば、手品の様な方法で、様子を見に来た【ルツ】を騙して待ち構えるという方法だった。
 能力を駆使したマジック──そういうのが的確な答えだろう。
 琴太達はこの騙しのテクニックを使って、【ルツ】の刺客に倒されたという事を演出した。
 まず、適当に存在代行五角結界を一つ解き、その時の敵を分析しつつ、一時撤退する。
 一度、琴太達も身を隠し、その時、確認した敵のダミーを作り上げる。
 再び、その敵【ルツ】の子供と敵対し、瞬殺する。
 その瞬間、倒した【ルツ】の子供を隠し、変わりに用意した敵のダミーとうまく相打ちを演出する。
 敵の偵察部隊が出てくる前に、ドロドロに溶けて無くなったという事も演出した。
 ドロドロに溶けた部分には琴太達のDNA等を残しておけば、偽の相打ちの演出は成功。
 その上で、アリスの兵器の中から、【ルツ】の利点になりそうなものを用意する。
 落ちていた兵器を見た偵察部隊は【ルツ】への献上品として、そのアイテムを、持っていく。
 後は、見つからない様に偵察部隊を追跡する。