また、クアンスティータ・リステミュウムだけじゃない。
 クアンスティータの本体は全て――代表的な特別な力をそれぞれが持っている。
 第一本体、クアンスティータ・セレークトゥースにはミステイク・フィルタというこれまた、訳のわからない特別な力を持っている事も知っている。
 強大過ぎる力を持つ上に、それぞれがバラバラに動く――それがクアンスティータだ。
 そんなものに暴れられたら、周り全てはたまったものではない。
 どうしようもなくなって大パニックを起こす。
 アリス達はそれを未来の世界で一度経験しているのだ。
 ティアグラは、クアンスティータが思っていた存在とまるで違っていた事にパニックを起こしたが、アリス達はどうしようもない存在がついに産まれてしまったという意味で気持ちが混乱していたのだ。
 ティアグラが当面の敵という事は頭で理解していても自分達はこんな事をしている場合ではないという気持ちが先に立ち、どこか上の空という状態だった。
「ぼーっとしているようだったら、俺だけで行くが?」
 琴太は心配そうに言う。
「……心配ないわ。ちょっと思考が追いついてないだけだから。すぐに、落ち着くと思う……」
 とアリスは返すが、
「とてもそうは思えんが……」
 これが琴太の正直な感想だった。
 ウェンディは元々、無口だったが、今は、ドロシーもだんまりとしている。
 気配りの人だったはずの彼女が何も話さないところを見ると、この状況は正常ではないと思えてくる。
 ティアグラが混乱していてチャンスではあるのだが、琴太達もまた、混乱していて、そのチャンスを上手く、利用出来ていない状況だった。
 琴太だけは、クアンスティータの情報が薄く、衝撃は少なかったが、クアンスティータをよく知るアリス達の動揺もまた、ティアグラに負けないくらい大きかったのだ。