「あなたらしくもない、落ち着きなよ、ハイースさん」
 私はそう言った。
「う、うん、そう……ね……」
 ハイースはたどたどしく答える。
 落ち着かないのは解る。
 解るけど、私達が慌ててもどうにもならない。
 結果は導造君かジェンドが運んでくるだけだ。
 私達は結果を見て納得するしかない。
 黙って見ているしかないのだ。

 やがて、落ち着かないハイースを余所に、ジェンドも待ち合わせ場所にやってきた。
「あなた……」
 夫を確認するハイース。
「………」
 チラッと、こちらを見た気もしたけど、ジェンドは正面に控えている導造君の方を見た。
「まさか、こんな小僧と一騎打ちをする事になるとはな……」
「僕としては、吟兄の代わりにリベンジ出来るので、ある意味、待ち望んでいた事ではあるけどね」
「たかが、トカゲ(ドラゴン)に怯えていた小僧とは思えん台詞だな」
「僕も成長したって事だね。不思議だよ、おじさんを目の前にしても、何故か怖くない」
「クアンスティータの誕生に影響されたんだよ。クアンスティータは何もかも壊していった。俺が築き上げた栄光や価値観、何もかもな……」
「支配者なんて、そんなもんだよ。更なる支配者に侵略されて、落ちぶれた者の末路なんて哀れなものさ」
「言うようになったな、小僧」
「お陰様で」
「……やるか……」
「そうだね……」
 身構える両者。
 しばしの沈黙。
 一瞬が何年にも感じる緊張が走る。