「じぇ、ジェンド・ガメオファルアって、イグニスに来たときに会ったあの怖い人?何か、嫌だなぁ……」
 導造君はそう答えた。
 同じ嫌がるにしても、以前の導造君だったら、もっとおっかながっていた。
 それは【ファイシャ】に取り憑かれていた彼の症状だったのだけど、今は、少し勇気が出てきているのか、ただ、煩わしいなという感じの対応だ。
「その無礼千万な物言い、本来であれば、即刻首を跳ねてやりたいところだが、今やるべき事はただ一つ、姉上、俺は貴女に決闘を申し込む」
「ぱ、パース……」
 その言葉に動揺するハイース。
 義弟が何を言っているのか解らない。
 そんな感じだった。
「姉上、貴女はやり過ぎた。姉上を殺せば、俺は兄上に殺されるだろう。だが、それでかまわない。兄上に害を為した姉上を俺は許すことが出来ん。だから、差し違えても貴女を倒す」
「そんな……」
 みるみる顔が青ざめていくハイース。
 家族同然に過ごして来た者を倒さなくてはならなくなった。
 その事実が彼女を苦しめている。
「兄ちゃん、兄ちゃん、仮でも姉なんだろ?姉弟でやりあうなんて事しないで、やんなら俺が代わりに出るわ」
 見かねた虎児が声をかける。