存在しないという事はクアンスティータからの脅威からも逃れられるという事なのだろうが、同時に、現界に置いては存在しないという事にされるという事でもある。
 それは、元々、持っていた力や、既に受け取りきった加護、完全所有していたものなどは持ち込む事は出来るが、新たなる加護や、エネルギーなどの供給などは一切が絶たれるという事でもある。
 私達は吟侍君の心臓になっている7番の化獣ルフォスの宇宙世界で力を得て来て自分の力としたけど、それ以外の力の供給は無いという事になる。
 同じように、今まで火の惑星イグニスを支配してきた絶対者アブソルーター達も神御(かみ)や悪空魔(あくま)、化獣(ばけもの)などからのこれからの加護は無いという事にもなる。
 つまり、惑星イグニスごと、抜界に連れて来られた私達はこんな訳のわからない宇宙世界にポツンと取り残される事になってしまった訳だ。
 クアンスティータの脅威と無関係になれたというのは喜ばしい事だとは思うけど、その代償として、現界では私達は元々、存在していなかったという事になってしまった。
 エテレイン様でさえ、その例外にはならず、彼女も存在しなかったという事になってしまうらしい。
 何てバカな事を――
 とも思うが、それによって、どうしようもない絶望からは逃れられたと思う自分も居る。
 だけど、私にとっては吟侍君達から、元々、居なかったという事にされてしまったのが、何より辛かった。
 悲しかった。
 吟侍君達はクアンスティータと向き合って行かなければならない状況なのに、私達はしっぽを巻いて逃げ出してしまった。
 その罪悪感に苛まれた。